行かなきゃ!行こうか!スリランカ!(前編)

スリランカの旅1日目

今回は、ジェフリーバワという建築家の建物を巡る旅だ。

ジェフリーバワとは、スリランカで一番有名な熱帯建築家。

アマングループの創設者、ゼッカー氏も彼の建築に感銘を受けてホテルを作ったと言われている。

世界で初めてインフィニティープールを作った人。

ほら、プールが水平線みたいに見えるやつね。

 

今回は友人を誘って4人旅。

我々夫婦は人を巻き込んで旅をするのが大好きなのだ。そうあの頃のように。

 

ジェフリーバワの生い立ち

バワはオランダ人系のクウォーターで、資産家の家に育った彼は多感な学生時代をロンドンで過ごし弁護士の勉強をしていた。休みにはヨーロッパ中旅をして、美しいヨーロッパ建築と調度品に囲まれる日々。

彼はそんな中ヨーロッパの建築と庭がとても大切な社交場だと気づき、惹かれていく。

その後親の病に伴ってスリランカで暮らすことになるのだが、受け継いだ遺産を使ってヨーロッパの邸宅を購入しようとした。

しかしすでに資産は減ってしまい、仕方なく理想の暮らしをするためにスリランカで理想の住居を作り始める事になり、改めて建築を学ぶのであった。

彼の建築家人生がスタートしたのはなんと38歳だった。

何事も始めるのに遅いなんて事はないのである。

 

バワ氏の自邸 No.11へ

彼の自宅が一般公開されており、1日数回のツアーに参加できる。そしてなんと1日1組限定で宿泊できるというので早々に予約したのだった。

初日は夜に首都コロンボに到着し、まずは客室スペースに案内された。

とても広いリビングの端には彼が使っていたであろう書斎。

1つ1つ集めたアンティーク品が飾られていた。

扉のないバスルームと、ベッドルームが2つ。

 

 

この調度品はどういう気持ちで集めたのだろう。

私が普段アンティークショップで買い物をするようなそれと同じようなプロセスだろうか。

 

人によってはガラクタに見えそうなアンティーク品達を見るところによると、

バワ氏も宝探しのようにマーケットを巡るのがきっと好きだった。我々と、同じだ。

彼が作る空間を見るとどうか。

ここの調度品やデザインは、ヨーロッパデザインの模倣ではなく、スリランカのデザインとして完璧に昇華されつつ、地元の人にはどこか西洋を感じさせるのだろう。

今までの何にも似ていない、オーガニックなのに色気のある空間だ。自然との境界線が曖昧なのが影響しているのか、楽園の入り口にこういう建物があるのかもしれない。とか思った。

その夜は疲れていつの間にか寝てしまっていた。

早朝にふと目を覚ますと聞きなれない鳥の鳴き声がする…?

 

--- 私、今スリランカにるんだ!

 

 

白いウレタン仕上げの艶のある床と壁。ほのかに冷たく気持ちいい。

髪が1本でも落ちれば目立つ床だ。

これ掃除大変だなぁ。きっとお手伝いさんがいたのだろうな。

って事はお手伝いさんの住む場所も何処かにあるのだろう。とか想像して遊ぶ。

 

柔らかに光が差し込む。

天井には何の設備も照明もない、ツルッとした天井。

こういう天井は法律上日本では再現できないのである。

自然光だけで昼間を過ごしていたのがわかる。

きっとその為の白い床だ。

床は光沢加工を施す事が少ないけれど、それもきっと光の為だと朝になって知る。

天からの光が床を反射して空間全体が明るく照明いらず。

 

自然と対話する有名建築家の自邸。

 

すこし湿度のある空気と、蒸し返す暑さ。

見慣れ無い鳥と主張の激しい植物達。この国はそういう国。

 

 

ダイニングで宿泊者限定の朝食をいただく。

 

普段は見学ツアーで見れる場所を我々の貸切でオーセンティックモーニング。

なんて贅沢なの!!

本当は撮影不可だが、特別だよーと写真を撮らせてくれた。ありがとう。

 

アジアンリゾート発祥の父とも言われるバワ。

そんな彼と今同じ景色を見ているのだ。

この後いくつかのバワ建築を巡る事になるのだが、各地にある家具やARTに同じ物を見つける事ができた。

真剣に愛せるものを作っていた証だ。

何故彼はこういう空間を自分の住居として作ったのか、人が暮らすとはどういう事か、仕事とは何か。

少し対話ができた気がしたスリランカ初日だった。

後編へ続く